■ 今回は、和洋を問わずポップ・ミュージックの歴史に残る様々な音楽ジャンルをリヴァイヴァルして、'90年代初頭に人気を博した女性アイドル・グループ、Mi-Ke
予め言っておくと『甦る60's 涙のバケーション何よりも本作は単なる60'sポップスのコピーに終始することなく、Mi-Ke独自のカラーで彩られている点が最大の魅力と言えるでしょう。
本来Mi-Keは純粋なオールディーズ・リヴァイヴァル・アーティストではないため、各曲が幅広い音楽的バック・グランドに根ざしたカヴァーとなっており、また彼女達が登場した'90年代という時代性を背景に、アナログ時代の音楽(60'sポップス)を当時のビートやサウンドを織り込んだデジタル時代の音楽としてリメイクしているのです。もちろん60'sポップス本来の雰囲気(魅力)を全く損なわせる事なく、それらをさりげなく融合させる形で。
また、カヴァー元となった洋楽のオリジナル曲やアーティストばかりでなく、日本人カヴァー・ポップス歌手や訳詞家にも敬意を払っているかの様に、多くの曲で当時ヒットした日本語カヴァー盤の歌詞も交えて歌われているのは日本人にとって嬉しい限りです。J-POPの原点とも言うべき'60年代のカヴァー・ポップスをたたえたMi-Keの姿勢は、以前紹介した'80年代のオールディーズ・リヴァイヴァル・バンド、ザ・ヴィーナス
何はともあれ、本盤は全てのポップス・ファンにおすすめです。
※ 参考までに入手しやすいMi-Keのベスト盤を記しておきます
・『complete of Mi-Ke at the BEING studio
・『BEST OF BEST 1000 Mi-Ke
(『甦る60's 涙のバケーション』収録曲目)
※
訂正:本CDには曲順の異なるものが存在するそうです(mizさんのコメント参照)。従って、下記の曲順は私が所有するCDの曲順に依ります。お詫びの上訂正します(2008.4.5)。<(_ _)>
01 ジョニー・エンジェル
Shelley Fabaresのデビュー・ヒットとなった60's Girl Popsの大名曲「Johnny Angel」('62年全米1位)のカヴァー。前半を日本語で後半を英語で歌っているのですが、日本語部分はThe Carpenters
※ 関連記事:[テレビが生んだ60'sアイドル、Shelley Fabares]
02 “コニー・フランシス”メドレー
Oldies Popsの代名詞、Connie Francisの日本における人気曲をメドレー形式でカヴァーしたもので、60's Popsのエッセンスはそのままに、シャープなパーカッションやデジタル・サウンド的なキーボードの音色等'90年代の音を融合させてパワー・アップした名カヴァーとなっています。なお、メドレーの曲順、発売年、全米チャート順位、原題等は次の通り。Vacation('62年9位)〜想い出の冬休み('62年18位「I'm Gonna Be Warm This Winter」)〜夢のデイト('61年「Someone Else's Boy」)〜大人になりたい('61年72位「Too Many Rules」)。「Vacation」(「ヴァケーション」)と「想い出の冬休み」はそれぞれ'62年と'63年に弘田三枝子
※ 関連記事:[オールディーズ・ポップスの女王!Connie Francis]
03 Be My Baby
オリジナルは'60年代を代表するガール・グループThe Ronettes
04 サヨナラ・ベイビー
Bobby Veeの傑作曲「Take Good Care of My Baby」('61年全米1位)を現代風のビートでカヴァーしたもの。Mi-Keヴァージョンは最初と最後が英語で、その間が日本語で歌われているのですが、面白い事に英語部分(オリジナル盤の歌詞)では恋人が"her"(女性)と歌われているのに日本語部分では"彼"(男性)と歌われているんですよね(どうでもいい事ですが...)。なお日本語詞は、'90年にテレビ・アニメ『ちびまる子ちゃん』のオープニング曲、「ゆめいっぱい」でデビューした歌手関ゆみ子(現 有馬ゆみこ)が瀬木佑未子名義で書いたもの。ちなみに瀬木佑未子は、「白い2白いサンゴ礁」のカップリング曲「お気に入りのワーゲン」(関ゆみ子名義)や「悲しきテディ・ボーイ」のカップリング曲「涙のLonely Story On The Beach」(関有美子名義)、「朝まで踊ろう」のカップリング曲「星空にTEARDROPS」、「Pink Christmas」のカップリング曲「BLUE MOONのように」、「涙のバケーション」のカップリング曲「わたしのヒーロー」等Mi-Keのシングル曲の作詞も手がけています。
※ 関連記事:[ピリッと爽快60's Pop & Roll!Bobby Vee]
05 シェリー
The Four Seasonsの大ヒット曲「Sherry」('62年全米1位)を比較的オリジナルに忠実にカヴァーしたもの。但し、前半の日本語部分は'63年に日本でヒットしたダニー飯田とパラダイスキング
06 涙のバースデー・パーティー
アイドル歌手Lesley Gore
07 I Will Follow Him(Chariot)
当時14歳だったLittle Peggy March
08 ボビーに首ったけ
日本では'63年に伊東ゆかりと梅木マリが日本語カヴァー盤(みナみかズみの訳詞)でもヒットさせた、Marcie Blane
09 メドレー“Navy!Fruity!”
Oldies Popsの中でも一際甘酸っぱいナンバーを集めてメドレー形式で絶品カヴァーしたもの。特にセンチメンタルな歌詞とメロディーを持つ最初の3曲における宇徳敬子の涼しげな歌唱が絶妙。メドレーの曲順、オリジナル歌手、発売年、全米チャート順位、原題等は次の通り。レモンのキッス(Nancy Sinatra:'62年「Like I Do」)〜Navy Blue(Diane Renay:'64年6位)〜イチゴの片想い(Irving Kaufman:'26年「Tonight You Belong To Me」)〜パイナップル・プリンセス(Annette:'60年11位「Pineapple Princess」)。日本では、「レモンのキッス」は同年のザ・ピーナッツ
10 ボーイ・ハント
Connie Francisが初主演した'60年の映画『Where the Boys Are』の同名主題歌('61年全米4位)のカヴァー。日本では同年Connie Francisの日本語ヴァージョン(奥山靉の訳詞)も発売されてヒットしており、Mi-Keヴァージョンは歌い出しがその日本語歌詞、後はオリジナルの英語歌詞によって歌われています。またここでは間奏のお洒落なギター・ソロが異彩を放っています。
11 内気なジョニー
オリジナルはJoanie Sommers
12 悲しき片想い
ご存知、Helen Shapiroの極上センチメンタル・バラード「You Don't Know」('61年全英1位)をカヴァーしたもの。日本では同年弘田三枝子の日本語カヴァー盤(漣健児の訳詞)も大ヒットを記録しています。例によってMi-Keヴァージョンは前半がその弘田三枝子盤の歌詞で、後半がオリジナル盤の英語歌詞で歌われています。偶然か必然か、この和洋折衷歌詞は竹内まりやのカヴァー・ヴァージョン(2003年『Longtime Favorites
※ 関連記事:[英国版Brenda Lee!Helen Shapiro]
13 ロコモーション
オリジナルは'60年代を代表するダンス・ヒットとして有名なLittle Eva
14 悲しき慕情
Neil Sedakaの「Breaking Up is Hard to Do」('62年全米1位)をカヴァーしたものですが、Mi-Keヴァージョンはその60's Popsヴァージョンのカヴァーと言うよりは'75年にNeil Sedaka自身によって再録されたスロー・ヴァージョン(全米8位)を意識した様な作りになっています。しんみりとした雰囲気で歌われている英語の歌詞に違和感なく溶け込んだ瀬木佑未子による粋な日本語詞が秀逸。
※ 関連記事:[オールディーズ・ポップスの王者!Neil Sedaka]
15 One Boy
元々はブロードウェイ・ミュージカル『Bye Bye Birdie
16 涙のバケーション
本盤のコンセプトを先取りする形で先行発売されたMi-Ke10枚目のシングルで、本盤中唯一のオリジナル曲。と言っても、サウンドもバック・コーラスも完全に60's Pops調の弾けたナンバーで、歌詞には'50〜'60年代の曲名がふんだんに散りばめられていたり、その時代の曲の歌詞に影響を受けたフレーズが登場したりする楽しい和製Oldies風Popsになっています。また、この曲はMi-Keがアシスタントを務めた音楽番組、『NHKヒットステージ』('92年4月〜'93年3月)のテーマ・ソングに採用されてオリコン19位のヒットを記録し、彼女達が前年に引き続いて出場した'92年末の第43回NHK紅白歌合戦で歌われた曲でもあります。
そもそもMi-Keのメンバー3人は、'90年に音楽制作会社ビーイングのプロジェクト・バンド、B.B.クイーンズのコーラス・メンバーとして歌手デビューを飾っています。ちなみにビーイングは'90年代前半にZARDやB'z、大黒摩季らを抱えて一世を風靡した音楽制作会社で、当時これらのビーイング所属アーティストによる快進撃はビーイング・ブームと呼ばれ、一種の社会現象にもなっています。
そして翌'91年、B.B.クイーンズから独立したアイドル・グループ、Mi-Keとしてデビュー。
Mi-Ke:
・宇徳敬子(リード・ヴォーカル)
'67年4月7日生まれ
・村上遙(コーラス)
'69年12月3日生まれ
・渡辺真美(コーラス)
'69年9月22日生まれ
何でもMi-Ke(ミケ)というグループ名は、ビーイングの創業者でプロデューサーの長戸大幸が、当時活躍していたバンド“たま”の様な短い名前が新聞のテレビ・ラジオの番組欄に載りやすい事を聞きつけて命名したそうです。さらにMi-Keのコンセプトも大のポップス・マニアとして知られる長戸大幸によって企画されたもので、古き良き時代の音楽を今に甦らせるリヴァイヴァル・プロジェクト・ユニットとして誕生したものでした。
という訳で、Mi-Keのデビュー曲は、日本で'60年代後半に流行したGS(グループ・サウンズ)をテーマにした(パロディー化した!?)「想い出の九十九里浜」。キュートなアイドルとしてのヴィジュアルとGSを'90年代型のサウンドでアレンジした新鮮さが幅広い層に支持されて、レコード大賞をはじめその年の数ある最優秀新人賞を総ナメにする等、一躍人気アイドル・グループとしての地位を確立します。
Mi-Keはその後も様々な音楽スタイルを斬新なアレンジによってリヴァイヴァルした曲でヒットを連発しますが、'93年8月に宇徳敬子がソロ・デビューした頃から活動を休止してしまいます。
★ ディスコグラフィー
シングル:
('91年)
・想い出の九十九里浜(2月14日)
・好きさ好きさ好きさ(5月3日)
・ブルーライト ヨコスカ(6月13日)
・む〜んな気持ちはおセンチ(7月11日)
・白い2白いサンゴ礁(12月4日)
('92年)
・悲しきテディ・ボーイ(4月8日)
・サーフィン・JAPAN(6月10日)
・朝まで踊ろう(7月22日)
・Pink Christmas(11月6日)
・涙のバケーション(12月31日)
('93年)
・Please Please Me, LOVE(5月12日)
アルバム:
('91年)
・想い出のG.S.九十九里浜(4月13日)
グループ・サウンズのカヴァー集
・懐かしのブルーライト ヨコハマ ヨコスカ(12月16日)
'60年代の女性歌手による和製ポップスのカヴァー集
('92年)
・忘れじのフォーク〜白い2白いサンゴ礁(4月8日)
'70年代前半の和製フォークのカヴァー集
・太陽の下のサーフィン・JAPAN(7月22日)
'60年代半ばのサーフィン&ホットロッド・ミュージック(主にThe Beach Boys)のカヴァー集(必聴!)
・朝まで踊ろう〜悲しきテディ・ボーイ(10月14日)
'70年代の和製ロックンロール(主にキャロル)のカヴァー集(必聴!)
('93年)
・甦る60's 涙のバケーション(6月2日)
・永遠のリバプールサウンド〜Please Please Me, LOVE.(12月8日)
'60年代のブリティッシュ・ビートのカヴァー集(必聴!)
■ 今回の無料動画は貴重なMi-Keの映像で「涙のバケーション」を紹介します。
何の番組かは分かりませんが、どうやら当時出演したテレビ番組の映像の様です。「涙のバケーション」は先述の様に60'sポップス調の楽しいナンバーですが、歌詞の中にオールディーズの曲名がやや強引に織り込まれているため、全体として意味が分かる様な分からない様な歌詞になっていますね(笑)。“ロカビリー三人男”の一人、平尾昌章
それにしてもピチピチとしたキュートな振り付けがいいですね。やはりMi-Keは'90年代を代表するアイドル・グループです。
それではMi-Keの和製オールディーズ風ポップス、「涙のバケーション」をご覧下さい(歌詞に登場する曲名全部分かります?)。
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Mi-Keはいいですよね〜。
今聴いても色褪せない感じがあります。
アルバムの曲順ですが、間違っていると思いますよ。私の持っているのと違いますから(汗)
ちなみにYouTubeの「涙のバケーション」はMステに出たときのものです。
宇徳さんには今年こそシングルリリースを期待したいです。
映像は『Mステ』からのものでしたか。ご指摘ありがとうございます。
ところでCDの曲順ですが、私の持っているCDでは記事で紹介した通りなんですよね。発売年月日は93・6・2となっています。詳しく知りませんがこのアルバムはその後再発されて曲順が変わったのでしょうか???
いずれにしてもMi-Keは最高ですよね!!
少しパロディー的な部分もありますが、Mi-Keがリメイクした音楽スタイルはどれも大好きです。あまり馴染みのなかったG.S.や和製フォークも目からウロコといった感じで(^^)
今後も当ブログをよろしくお願いします<(_ _)>
色々調べましたが、レアなCDだと思いますよ〜!
曲順が違うCDが存在するようですね。私の持っているものは初回盤の
ボックスケース付きのタイプなので
93/6/2で日付も同じです…。
てか、通常盤は一回しか見たことありません(笑)
いずれにしても探してみたいと思います。
私の持っているCDは珍しいんですか?何かうれしいですね(^^)
このアルバムに色んな曲順(2種類?)のCDがあるなんて夢にも思いませんでした。
私が購入したのは正確に覚えてませんが、発売後何年か経ってからで普通のCDです。ボックスケース付きではありません。
度々貴重な情報ありがとうございます♪
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