わが国初のロカビリー・スター、小坂一也 ~その2~

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本邦初のエルヴィス・カヴァー盤誕生とロカビリー・ブーム爆発前夜

■ 前回は、日本で初めてロックンロールのカヴァー・レコードが発売されたけれど内容的にはちょっとロックンロールとは言いがたい、というところまでで話しを終えましたが、今回は遂に名目だけのロックンロール・カヴァーでない名実共に兼ね備えた日本語カヴァー盤の登場です。

時は'56年6月、曲はエルヴィス・プレスリーの「Heartbreak Hotel」、歌ったのはもちろん我らが小坂一也とワゴン・マスターズ
肝心の曲はどうかと言いますと、スティール・ギターが入っててC&Wの名残がありますが、エレキ・ギターも頑張っておりこれはもう完全にロックンロールです(必聴!)。エルヴィス・プレスリーの「Heartbreak Hotel」が日本で発売されたのが同じ'56年6月だから、彼らの行動の素早さにもビックリしますよね。
ちなみに私は観た事ないんですが、'57年1月公開の小坂一也主演映画『星空の街』では劇中この曲が歌われているそうです(望むDVD化)。

また、同年9月に行なわれた彼らのコンサート“小坂一也リサイタル”ではC&W曲が数曲続いて場内がややダレ気味になった際に「ハートブレーク・ホテル」を歌って、超満員の観客3千人(8割が若い女性)を熱狂させたというエピソードも残されています。まさにわが国初のロカビリー・スター誕生って感じじゃないでしょうか。

以降彼らは「アイ・ウォント・ユー・アイ・ニード・ユー・アイ・ラヴ・ユー」、「冷たくしないで」(原題「Don't Be Cruel」)、「君を求めて」、「優しく愛して」(原題「Love Me Tender」)、「オール・シュック・アップ」、「テディ・ベア」、「監獄ロック」(原題「Jailhouse Rock」)他エルヴィス・プレスリーの日本語カヴァー盤を数々発表していきます。
そのほとんどがまだ“ロカビリー三人男”がデビューする前で、ここに小坂一也が最初に“和製プレスリー”と呼ばれた所以があるのです。

ここで『ワゴン・マスター 1954』に未収録のおすすめ曲が収録されているCDを2枚紹介しておきましょう。

CD:[試聴/Tower Records] [amazon]
コロムビア音得盤シリーズ 小坂一也まずは『コロムビア音得盤シリーズ 小坂一也』。全10曲の内、先に紹介した2枚組CDとダブっている曲が7曲もあるのになぜあえて紹介するかと言うと、彼らの貴重な最初のエルヴィス・カヴァーハートブレーク・ホテル」と超傑作ロカビリー「監獄ロック」('58年2月)が収録されているからなんです。

監獄ロック」と言えば'58年3月発売の平尾昌章(“ロカビリー三人男”の一人)の2ndシングル(タイトルは「かんごくロック」)が有名かもしれませんが、こちらは彼のバンド、オールスターズ・ワゴンの演奏ではなく、ビッグ・バンドのシャープス・アンド・フラッツの演奏で録音されているため前回の江利チエミではありませんが、R&Bともジャズとも言えない様な伴奏になっていて今ひとつロックンロールになりきってない感じがします。
せっかく平尾昌章のヴォーカルが最高にロックンロールしてるのにもったいない(歌は小坂一也よりワイルド)。もし、オールスターズ・ワゴンの演奏で録音していたら間違いなく傑作ロカビリーとなっていたでしょう。

それに対して小坂一也とワゴン・マスターズ盤はどうでしょう。何とビックリ、完全にロカビってます。ベースはスラッピング奏法だし、ギター・ソロも超カッコよくキマッてます(必聴!×∞)。
それにロカビリーでよくある、バンド・メンバーによる叫び?わめき?入り(笑)。
前回触れたように'57年11月の「オール・シュック・アップ」では本邦初のヒーカップ唱法を披露した彼らが、今度は日本のロカビリー史上初めてスラッピング・ベースで録音しています(残念ながらマンブリング唱法は後の平尾昌章までおあずけ)。
この曲でもスティール・ギターが使われていますがワイルドに演奏されてるせいか、この曲を聴くと小坂一也と同じカントリー畑のCurtis Gordonのロカビリー曲を連想してしまうんですよね。
なお、当時発売されたその他の「監獄ロック」のカヴァー盤には小坂一也ともジョイント・コンサートを行なった、“カリプソ娘”こと浜村美智子による迷!?カヴァーもあります('58年2月)。

次に紹介するCDは『優しく愛して』です。全23曲のほぼすべてがカヴァー曲でエルヴィス・カヴァーは7曲含まれてます。なお、「君を求めて」、「ヤング・ラブ」、「風来坊(の唄)」(原題「The Wayward Wind」、オリジナルは'56年全米1位のGogi Grant盤)、「さすらいの旅人」(和製C&W)の4曲はすべて再録ヴァージョンのため、先に紹介した2枚組CDとダブっている曲はありません。

エルヴィス・プレスリーの傑作ロッカ・バラードに挑戦した「アイ・ウォント・ユー・アイ・ニード・ユー・アイ・ラヴ・ユー」、アコースティック・ギターも歯切れよくオリジナルよりロカビリー風味の「冷たくしないで」、エルヴィスを彼なりに目いっぱい意識して歌っているのが分かる「優しく愛して」等のエルヴィス・カヴァーや当時日本でも多くのロカビリー系C&Wバンドがレパートリーにしていた「ブルースを唄おう」(原題「Singing The Blues」、オリジナルは'56年全米17位、C&W1位のMarty Robbins盤)、ポップ・カントリーといった趣の「ドント・フォービッド・ミー」(オリジナルは'56年全米1位のPat Boone盤)等が聴き所でしょう。

ロックンロールではないのですが、本盤収録の晩年のオリジナル名曲「今、いちばんのありがとう」('91年作、アリナミンAのCM曲)を聴くにつけ、'97年11月1日に天国へ旅立った彼がいかに偉大な歌手であったかを痛感させられます(合掌)。

※ そういえば『優しく愛して』はCD-Rです。付属の解説には“家庭用CDプレーヤーにによる再生をお奨めします”と書かれてますが、私のCDプレーヤーではなぜか再生できませんでした。パソコンでは再生できます。購入の際はその点くれぐれも注意して下さい
さて、話を戻しましょう。
わが国では'56年当時まだ“ロカビリー”という言葉はほとんど使われておらずエルヴィス・プレスリーの音楽等は“ロック・アンド・ロール”と呼ばれていました。
『ミュージック・ライフ』'57年4月号でブーツ・ブラザーズという日本のバンドについて“ロカビリー”(“ロックビリー”)という言葉が初めて使われたと言われていますが、その紹介記事の“ロックビリー”の説明によると既にPat BooneSonny James等もロカビリーの範疇に含まれていたため、端から“ロカビリー”という言葉が少し?違ったニュアンスで世間に伝えられていた事が分かります。これが後々まで日本人の誤ったロカビリー観として引きずるんですよね。
とにかくこれ以降日本でも“ロカビリー”という言葉が世間に浸透していきます(当初は“ロックビリー”や“ロッカビリー”という呼称が多かった)。

そんな矢先の'57年5月5日、ヴィデオ・ホールで行なわれた“ウエスタン・カーニバル”ではそれまでどのバンドもC&Wを主なレパートリーとしていたんですが、この回からロカビリー系(ロックンロール系?)のレパートリーが全演奏曲の3分の1程までに増えてロカビリー人気も爆発寸前の様相を呈していました。
当日の演奏曲目一覧を見てみるとロカビリー系カヴァー曲も実に興味深いものばかりなのでいくつか注目曲をあげてみましょう。

今回が初出場となったクレイジー・ウエストミッキー・カーチスのヴォーカルでエルヴィス・プレスリーの「ハウンド・ドッグ」、山上俊郎のヴォーカルでBill Haley & His Cometsの'54年全米7位のヒット曲「シェイク・ラトル・アンド・ロール」(オリジナルは'54年R&B1位のBig Joe Turner)と「セインツ・ロックンロール」('56年全米18位、元はトラディショナル・ソング)を披露。
日本でいち早くロカビリーを取り上げていたバンドの一つブーツ・ブラザーズは、瀬脇寿博のヴォーカルでエルヴィス・プレスリーの「ブルー・ムーンがまた輝けば」(原題「When My Blue Moon Turns To Gold Again」、オリジナルは'41年C&W1位のWiley Walker & Gene Sullivan)と渋めのロックンローラーSanford Clarkの'56年全米7位のヒット「ザ・フール」を取り上げ会場を大いに湧かせています。
当時ワゴン・マスターズに次いで人気のあったオールスターズ・ワゴンは、平尾昌章のヴォーカルで小坂一也も録音した「バタフライ」とGene Vincent & His Blue Capsの「ビー・バップ・ア・ルーラ」('56年全米7位)を披露。なお、この時平尾昌章ジーン・ヴィンセントのオリジナルを再現すべく、エコー・マイクを使って熱唱しています。
その高度な演奏技術に定評のあったウエスタン・キャラバンは岡田朝光のヴォーカルでBill Haley & His Cometsの'56年全米6位のヒット「シー・ユー・レイター・アリゲーター」(オリジナルは'55年R&B15位のBobby Charles)を披露。
サンズ・オブ・ドリフターズは後の“ロカビリー三人男”の最後の一人山下敬次郎(後に敬二郎に改名)のヴォーカルでエルヴィス・プレスリーの「エニイ・ウェイ・ユー・ウォント・ミー」(「Love Me Tender」のB面、'56年全米27位)、清水嘉寿夫のヴォーカルでホンキー・トンクの王者Webb Pierceが'56年に放ったC&WTOP10ヒルビリー・バップ「ティーンエイジ・ブギー」を披露。

そして今回の主役、小坂一也とワゴン・マスターズも上記バンド達に負けず小坂一也のヴォーカルでエルヴィス・プレスリーの「ラヴ・ミー」(CD『優しく愛して』収録)と「君を求めて」、オールスターズ・ワゴンも取り上げた「ビー・バップ・ア・ルーラ」、住吉尚のヴォーカルでGene Vincent & His Blue Capsの3rdシングル「ブルー・ジーン・バップ」('56年全米49位)を披露して観衆を熱狂させています。

上記の演奏曲にはその後何十年も経ってからネオ・ロカビリー・バンドに取り上げられるような曲もあり、当時の日本にも結構本格的なロカビリー・シーンがあったことを確認できるのではないでしょうか。どんな風に演奏していたのか聴いてみたいものですね~。
ちなみにネオ・ロカビリー・バンドが取り上げた代表例をあげておくと「シェイク・ラトル・アンド・ロール」と「シー・ユー・レイター・アリゲーター」はジャイヴ系ネオ・ロカ・バンドのThe Stargazers他、「ザ・フール」は'80年代の英国ロカビリー界でトップ・クラスの人気を誇っていたRestless他、「ビー・バップ・ア・ルーラ」は伝説のネオ・ロカ・バンドThe Rockats他、「ティーンエイジ・ブギー」はアコースティカルなロカビリーが好印象のThe Shakin' Pyramids他、「君を求めて」と「ブルー・ジーン・バップ」はネオ・ロカの王者The Stray Cats他、があります。

そういえば、「ティーンエイジ・ブギー」って当時日本でも多くのバンドがレパートリーとしていた人気曲のようで、レコードとしても“ムッシュかまやつ”ことかまやつヒロシが'58年12月発売のオムニバス・アルバム『トウキョウ・ジャンボリー』で名カヴァーを披露してます。

以上、日本におけるロカビリー創生期について小坂一也とワゴン・マスターズの活躍を中心に見てきましたが、ロカビリー・ブームが爆発する“日劇ウエスタン・カーニバル”以降の話はまた別の機会にしたいと思います。 

■ 前記“ウエスタン・カーニバル”の演奏曲目でもカヴァーされていたジーン・ヴィンセントは、当時エルヴィス・プレスリーに次いで日本のロカビリアンに人気があったアーティストと言えるでしょう。ミッキー・カーチス山下敬二郎は当時のインタヴューでも好きなアーティストとして明言してますし、平尾昌章のオリジナル曲にも彼の最初期の楽曲の影響がうかがえる曲があります。
また、その他のロカビリアンも'59年6月のジーン・ヴィンセント来日前後には、『ミュージック・ライフ』誌で来日前の期待や来日後彼のステージを見た後の感動等を熱く語っています。

というわけで今回の無料動画はジーン・ヴィンセントにしたかったのですが、適当な映像がないので代わりに彼の初期の曲「Double Talkin' Baby」('56年)をカヴァーしている、The Stray Catsの'83年時のライヴ映像を紹介します(超人気バンドで多くの人が見たことあると思うので気が引けるんですが...)。
もともと'81年発表の彼らのデビュー・アルバム、『涙のラナウェイ・ボーイ』(原題『Stray Cats』)に収録されていた曲ですが何度聴いてもやはり上手いですね。まだギターを弾くBrian Setzerも若々しい彼らの全盛期の映像でどうぞ。

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コメント
この記事へのコメント
頭が下がります。
前編・後編にわたり凄い解説で敬服致します。
私が子供の頃の彼は「サイクリング、サイクリング、ヤッホー、ヤッホー」でした。確か「とあけゆきよ」(字忘れました)と婚約の話で話題になりましたね。
2008/05/24(土) 02:27 | URL | nandakanda46 #ll/q85a.[ 編集]
nandakanda46さんこんばんは!
「青春サイクリング」ですか~♪小坂一也はカントリー&ウェスタンにロカビリー、そして青春歌謡と様々なスタイルでヒットを放っていて実に多才な歌手ですね。

もちろん私は全盛時の歌手としての彼を知らないのですが、父が東京で暮らしていた頃('50年代)よく小坂一也とワゴン・マスターズのステージを観に行っていたらしく、当時の人気ぶりは昔父から聞かされました。'50年代の小坂一也を体験しているのはホント羨ましい限りですね。

あと、十朱幸代との事は全く知りませんでした。何でもウィキペディアによると'74年の事だそうですね。私が小学生にもなっていない時の事なので知らなくて当然ですが(笑)
2008/05/25(日) 02:53 | URL | sugarboy #L/3l8JBE[ 編集]
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