Rock'n'Roll

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Buddy Holly 『Buddy Holly Gold』 ♪本文末に記事に関連した動画有

■ 突然ですが、本日は2月3日ですよね。と言う事はDon McLeanが「American Pie」('71年全米1位)の中で"The Day the Music Died ♪(音楽が死んだ日)"と歌った日。つまり49年前、Buddy HollyをはじめRitchie ValensThe Big Bopper(J.P. Richardson)といった当時の人気ロックンローラー3人が飛行機事故で命を落とした日です。なので今回は、亡くなった3人の中でもその後のロックに最も影響を与え、今なお多くの人を魅了し続けている伝説のロックンローラー、バディ・ホリーを紹介したいと思います。

バディ・ホリーが後のロック・ミュージックに与えた影響として有名なのが、The Beatlesが確立したと言われるエレキ・ギター2本にベース、ドラムの4人といったロック・バンドの基本編成の原型(バディ・ホリーのバンド、The Crickets)を形作った点でしょう。ただ、レコーディングではそれほどこの基本編成が守られていた訳ではなく、ベースもエレキ・ベースではなくウッド・ベースが使用されていましたが...
それでもいくつかのセッションやライヴは、現にこの4人編成によって行なわれています。あえて付け加えるならば、バディ・ホリー最後のツアーとなった『Winter Dance Party』時に結成されたツアー・バンドは、Buddy Holly & The Cricketsと名乗りエレキ・ギター2本にエレキ・ベース、ドラムの4人編成でした。そう言えば有名な話ですが、The BeatlesというBeetle(カブト虫)をもじったバンド名は、憧れのThe Crickets(Cricket=コオロギ)にヒントを得て命名しているんですよね。
さらにその4人編成のバンド、クリケッツの楽曲のほとんどはプロのソングライターから提供されたものではなく自作曲でした。しかもメンバー全員が作曲をしています。この自作自演という点もビートルズ以降のロック・バンドのスタイルの先駆けと言えるでしょう。
これまで述べてきたのは目に見えるバディ・ホリーの影響ですが、実は最も重要なバディ・ホリーの影響と思われるのが、当時としてはまだ珍しい、自身の声やギターのダブル・トラッキング録音やストリングスのロックンロールへの導入等、常に新しいことを試みて自身の音楽性を発展させるというチャレンジ精神ではないでしょうか。
バディ・ホリーは'50年代後半の約2年という実に短い期間しか活躍していませんが、間違いなくロックンロールの重要なオリジネイターの1人と言えるミュージシャンです。

さて、バディ・ホリーのプロフィールは後述するとして、ここでCDを紹介しておきます。

CD:[試聴/Tower Records] [amazon]
ダウンロード:[試聴/iTunes Store]
Goldバディ・ホリーに関しては海賊盤も含め豊富な種類のCDが出回っていますが、まずはバディ・ホリーがロックンロールに目覚めた時期以降の音源とその全盛期のヒット曲から聴き込んでみる事をおすすめします。なので、今回はバディ・ホリーの入門盤として2枚組CD『Buddy Holly Gold』を紹介します。
内容は'54/'55年から'58年にかけて録音された音源で、バディ・ホリーがロックンローラーとしてスターダムにのし上がったBrunswick/Coral時代を中心に、デビュー以前のデモ音源(オーヴァー・ダブ版)とDeccaでのロカビリー時代、クリケッツと決別後死の直前に行なったホーム・レコーディング音源(オーヴァー・ダブ版)等で構成されています(全50曲)。
バディ・ホリーが生前に放ったヒット曲を全て網羅しているだけでなく、僅か3年ほどの間にみせた彼の著しい音楽的進歩を如実に実感できる作りになっているため、入門盤としてはこの上ないといった感じです。本作は多才なバディ・ホリーの魅力を十分満喫できる好編集盤と言えるでしょう。

※ その他バディ・ホリー関連のおすすめ
・CD『バディ・ホリー・ゴールド
上記紹介CDの国内盤
・CD『Gotta Roll! The Early Recordings 1949-1955
Buddy Hollyの初録音曲を含み、R&Rに転向した'55年までの貴重な音源を集大成したもの
・CD『ガッタ・ロール
前記CDの国内盤
・CD『Hollybilly: Buddy Holly 1956 - The Complete Recordings
デビュー曲を含むDeccaセッションや初のNorman Petty studiosセッション、ホーム・レコーディング音源等、ロカビリー時代のBuddy Hollyが'56年に録音した曲を集大成した2枚組
・CD『Not Fade Away: Buddy Holly 1957 Complete Recordings
正規の音源や別ヴァージョン、ライヴ音源、Buddy Hollyがリード・ギタリストとして参加した他のアーティストの曲等Buddy Hollyが'57年に録音した曲を集大成した3枚組
・DVD『バディ・ホリー・ストーリー
'56年から最後のステージまでを描いたBuddy Hollyの伝記映画('78年公開)
・DVD『The Real Buddy Holly Story
Paul McCartneyがプロデュースして'86年に放送されたBBCテレビ番組が基になっているドキュメンタリー(Buddy Hollyのライヴ映像の他、プライヴェイト映像、Elvis Presleyのラボックでのステージ映像等貴重な映像が満載)。

ところで、バディ・ホリーがその黄金時代に確立した、テキサス産のカラッと乾いた快活なバディ・ホリー・サウンドを特徴づける独創的な要素と言えば、斬新なギター・スタイルと抑揚のヴァリエーションが効いたヴォーカル・テクニック等が挙げられると思います。
バディ・ホリーのギター・スタイルはリード・ギターとリズム・ギターの要素を融合した個性的なもので、絶妙な力強さをたたえつつも決して重苦しくなることのない軽快さが魅力となっています。
他方、バディ・ホリーのヴォーカルは、高音と低音の巧みな使い分けやヒーカップ唱法、マンブリング唱法、その発展形とも言える単語に装飾音を加えて引き伸ばす唱法等を駆使した独特の器楽的歌唱法で、これらを単独あるいは組み合わせて用いることによって、1曲の中で唱法を絶え間なく変化させるリズミカルなものとなっています。
さらに、歌詞の内容が重視される様になった'60年代後半以降のロックとは違って、まだサウンドが主体だったこの時代においても、バディ・ホリーの曲は歌詞に主題を備えているものが多かったのですが、上記の歌唱法によって歌詞にスリリングな躍動感を付与し、歌詞の持つ繊細な感情的ニュアンスを完全に表現しきっている点は特筆すべきでしょう。
もちろん個々の歌唱法はバディ・ホリーが創始者という訳ではありませんが、歌詞の感情を効果的に訴えるそれらの絶妙な組み合わせ方はオリジナリティあふれるもので、全体としてヴォーカルとサウンドを見事に一体化させたバディ・ホリー・サウンドはやはり唯一無二と言えます。

(収録曲目)
※ ()内は米盤発表年(未シングル化=アルバム名併記、生前未発表=録音年)及びチャート

Disc 1
01 Down the Line('55年録音)
Elvis Presleyとの出会いを機にR&Rを志向する様になったBuddy Hollyが録音したRockabillyナンバー第1号。オリジナルの録音メンバーは、Buddy Holly(ヴォーカル&リード・ギター)、Bob Montgomery(ヴォーカル&ギター)、Larry WelbornもしくはDon Guess(ウッド・ベース)ですが、本ヴァージョンはさらに'64年にThe Fireballsの演奏がオーヴァー・ダブされたもの。このスピード感に満ちたスリリングな傑作Rockabillyは、同年Buddy & Bobが出演したダラスの人気ラジオ番組『The Big D Jamboree』でも披露されています。なお、先に挙げたCD『Gotta Roll!』のタイトルは、この曲の当初の曲名(「Gotta Roll」)から取られたものでした。また、この曲はThe Polecats('81年EP盤)やHillbilly Bops('87年『Hillbilly The Kid』)他多くの名カヴァーを生んでいます。
02 Soft Place in My Heart('54or'55年録音)
前曲と同じくBuddy & Bob時代の曲で、Buddy Hollyのルーツを明示するかの様なBob Montgomery作の美しいC&W曲。ちなみにここでフィドルを弾いているのは後の名ギタリストSonny Curtis。
03 Holly Hop('56年録音)
元々セッションのウォーミング・アップ用の曲だったため特に曲名はついていなかったのですが、Norman Pettyが'68年にThe Fireballsの演奏をオーヴァー・ダブした時に「Holly Hop」と名づけたカッコいいRockin'インスト(作者はBuddy Hollyの実母Ella Holley)。
04 Blue Days-Black Nights('56年)
Buddy Hollyの記念すべきDeccaからのデビュー・シングルで、メロディアスなSonny Curtisのギター・ソロとDon Guessのスラッピング・ベースの絡みが印象深いRockabillyナンバー。なお、作者であるBen Hallのヴァージョンは、オムニバスCD『Hep Cats from Big Springs』で聴けます。
05 Love Me('56年)
前曲のB面で発表されたA面同様にカッコいいRockabillyナンバー。Colbert Hamiltonによる強烈なヒーカップ混じりのカヴァーの印象が強いんですが、意外にもBuddy Hollyのオリジナル盤ではヒーカップ唱法は使われてないんですね。
06 Midnight Shift('58年『That'll Be the Day』)
未発表ながらSun Recordsでも録音経験のあるRockabillyシンガーLuke McDanielが変名で書いた曲で、前2曲と同じ第1回目のDeccaナッシュヴィル・セッションで録音されたミディアム・テンポのナイスRockabilly。
07 Baby, Won't You Come Out Tonight('56年録音)
後にBuddy Hollyの成功を支えた名プロデューサーとしてその名を残す、Norman Pettyのスタジオでの初セッション(2月)で録音された曲。まだ未完成ながらBuddy Hollyの特徴的歌唱技術の1つである、高音と低音の巧みな使い分けが初めて顕著に現れた事に加え、Sonny Curtisのスリリングなギター・ソロもクールにキマった傑作Rockabilly。
08 Changing All Those Changes('56年録音)
前曲同様まだまだ控えめながら、高音と低音を絶妙に使い分けているBuddy Hollyの歌唱が魅力的なRockabillyナンバー。こちらはNorman Pettyのスタジオで4月に録音された曲ですが、やはりRockabillyとしては傑作といえる出来。
09 I'm Gonna Set My Foot Down('56年録音)
前曲と同じセッションで録音されたRockabillyナンバーで、ここでは子供っぽい甘えた口調で単語に装飾音を加えて繰り返すBuddy Holly独特の歌唱が披露されています。'56年のNorman Petty Studiosでの録音曲は当時全て未発表となりますが、Buddy Hollyが徐々に独自の歌唱スタイルを確立していっている様が如実に表れており、この一連のセッションがいかに重要なものだったかが窺えます。
10 Rock Around with Ollie Vee('57年)
Norman Petty Studiosでの試行錯誤が実を結んだBuddy HollyのRockabilly時代の最高傑作が、2回目のDeccaセッションで録音されたこの曲(発表は1年以上後)。全体としてワイルドにシャウトするBuddy Hollyの歌いっぷりは絶品で、音程を1オクターヴ急降下させて口走るマンブリング唱法は鳥肌ものです。さらに絶妙なタイミングでのヒーカップ唱法はKnock Out必至。もちろんバックの演奏も完璧で、Sonny Curtisのスピーディでエキサイティングなギター・ソロ、強烈なバック・ビートを刻むJerry Allisonのタイトなドラミング、バッチリ決まったDon Guessのスラッピング・ベースと言う事なし。なお、この曲は、Brunswick Recordsでの1stシングル「That'll Be the Day」(Norman Petty Studios録音)がヒットした後に発表されたDeccaでの3rdシングルなんですが、ヒットの恩恵に与ろうとしたのか、B面はA面と同じセッションで録音された「That'll Be the Day」でした。余談ですが、曲名のOllie Veeという名前は、Sonny Curtis(作者)の父の農場で働いていたWillie Robertsonという人の奥さんの名前、Ollie Vee Robertsonから取られているそうです。
11 Girl on My Mind('58年)
前曲と同じセッションで録音されたDeccaからの5thシングルで、「I'm Gonna Set My Foot Down」で見せた歌唱法をさらに大胆に取り入れた切ないロッカバラード。
12 Ting-A-Ling('58年)
前2曲と同じセッションで録音された、名門Doo WopグループThe Cloversの'52年R&B1位曲をRockabillyアレンジでカヴァーしたもの(前曲のB面)。高音と低音の使い分けや装飾音の繰り返し等Buddy Hollyの歌唱技術を駆使した名カヴァーで、間奏では「That'll Be the Day」風のギター・リフも聴こえてきます。ちなみに、コネチカット出身のDoo WopグループThe Nutmegsのヴァージョン(未発表)では、ベース・ヴォーカルがリードを務めるかなりクールなカヴァーになっています。その他Buddy Hollyの死後、Earl Sinksをヴォーカルに据えた新生The CricketsによるBuddy Holly盤を参考にしたカヴァーも有('60年『In Style With The Crickets』)。
13 Modern Don Juan('56年)
最後となった3回目のDeccaセッションで録音されたサックス入りのマイルドなR&R(Deccaからの2ndシングル)。
14 Brown Eyed Handsome Man('56年録音)
Chuck Berryの'56年R&B5位曲を取り上げたもので、Buddy Hollyの疾走感あふれるギター・ソロと小気味いいヴォーカルが魅力のオリジナルに勝るとも劣らない傑作カヴァー。
15 That'll Be the Day('57年全米1位)
言わずと知れたR&R史に残る大傑作で、Brunswick Recordsから1stシングルとして発表されたThe Cricketsのデビュー曲。但し、一般にThe Cricketsとして知られる4人のメンバーの内、Joe B. Mauldin(ウッド・ベース)はまだ参加しておらず、Niki Sullivan(リズム・ギター)もバック・コーラスのみの参加となっています。元々は映画『The Searchers』('56年)を観に行ったBuddy HollyとJerry Allisonが、劇中主役のJohn Wayneが繰り返し使った“That'll be the day!”というセリフにインスパイアされて作った曲で、早速前記ナッシュビル・セッションで録音を試みるも、プロデューサーOwen Bradleyから「今まで聴いた中で最低の曲だ」と言われてしばらくお蔵入りとなっていた曲でした。本盤収録ヴァージョンは、それを新たにNorman Petty Studiosで録音し直したもの。高めの声で歌われスラッピング・ベースを強調したRockabilly調のDecca盤との差は歴然で、ここでのBuddy Hollyの適度に抑制された高音と低音の使い分けや装飾音の繰り返し、ヒーカップ唱法等のヴォーカル・テクニックと黒っぽさをたたえたブルージーなギター・リフのカッコよさは天下一品。ちなみにこの曲は、Buddy Hollyに多大な影響を受けたThe Beatlesの前身、The Quarrymenが最初に作ったレコード('58年)としても有名。
16 I'm Lookin' for Someone to Love('57年)
Buddy Hollyの音楽性がRockabillyから独創的なR&Rへと発展を遂げる過渡期的作品がこの曲(前曲のB面)。Buddy Hollyの奏でるスリリングなRockabillyギターに象徴される様に曲調は完全にRockabillyですが、意図的だったのかDecca時代と異なり、バック・コーラスが入っていてLarry Welbornのベースもスラッピング奏法は使っていません。強いて言うならかなり洗練されたRockabillyといった感じ。なお、この名曲は、The Stray Catsがアルバム『Rock Therapy』('86年)でカヴァーしています。
17 Worlds of Love('57年)
Buddy Hollyが初の試みとして自身のヴォーカルとギターをダブル・トラッキング録音した意欲的な作品で、Buddy Hollyソロ名義によるCoral Recordsからの1stシングル。この曲はテックス・メックス(米南西部音楽とメキシコ音楽の融合音楽)に影響を受けた穏やかなラヴ・ソングですが、前曲から2ヶ月も経たない内に録音されているというから驚きです。Buddy HollyがElvis Presley(Rockabilly)の影響から完全に脱して新たな段階に向かって歩み出した記念碑的作品であるにもかかわらず、残念ながらヒットさせることは出来ませんでした。が、同年すかさずThe Diamondsにカヴァーされてヒット(全米13位)を記録した他、The Beatlesがアルバム『ビートルズ・フォー・セール』('64年)でカヴァーしています。
18 Not Fade Away('57年)
本来はBuddy HollyがThe Everly Brothersのために書いた曲のデモ録音だったもの(「Oh, Boy!」のB面)。Bo Diddleyのジャングル・ビートを取り入れた曲ですが、Buddy Hollyお得意のヒーカップ唱法やJerry Allisonがドラム代わりに段ボール箱を叩く事で独自の軽快さを織り込んでいるのは流石。
19 Everyday('57年)
ノスタルジックな青春映画『スタンド・バイ・ミー』('86年)の中でも効果的に使われていたチャーミングなBuddy Hollyナンバー(「Peggy Sue」のB面)。Norman Pettyの妻Vi Pettyが弾くチェレスタ(楽器)とJerry Allisonが膝を叩くパーカッションが特徴的で、何とも言えないほのぼの感を醸し出しています。もちろん、装飾音の繰り返しやヒーカップ唱法等Buddy Hollyのヴォーカル・テクニックも絶妙。この曲はBuddy Hollyフォロワーの代表格Bobby Veeが'60年にカヴァーしています。
20 Tell Me How('57年『The "Chirping" Crickets』)
元々は上記The Cricketsの1stアルバム収録曲だったものを後に「Maybe Baby」のB面としてシングル・カットした曲。The Cricketsと言うとそのアルバム・ジャケットに写っている4人編成という印象が強いのですが、先に触れた通り当初はJoe B. Mauldinも加入しておらず、Niki Sullivanも毎回レコーディングに参加している訳ではなく、しかも今まではバック・コーラスのみの参加でした。この曲のセッション('57年6月)で初めてNiki Sullivanがエレキ・ギターによるリズム・ギターを担当して、真にThe Cricketsのレコーディングが実現した訳です。で、曲の方はBuddy Holly独自の歌唱技術もますます磨きがかかったストレートなR&R(隠れた名曲)。
21 Ready Teddy('58年『Buddy Holly』)
オリジナルのLittle Richard('56年全米44位)やElvis Presley盤('56年『Elvis』)に対抗するかの様に、Buddy HollyがR&Rの原点に立ち返って激しく唸ったカヴァー。
22 Listen to Me('58年)
「I'm Gonna Love You Too」のB面で発表された「Words of Love」と似た雰囲気の曲。この曲でもBuddy Hollyが自身のヴォーカルとギターをオーヴァー・ダビングしているためNiki Sullivanの出番はありませんでした(T_T)。
23 Oh, Boy!('57年全米10位)
エネルギッシュな歌唱を印象付けておいて各フレーズの最後で急に甘えた様な声を出したり、合間にヒーカップ唱法を効果的に交えてみたりとBuddy HollyのヴォーカルがノリまくったThe Cricketsの2ndシングル(大傑作)。後にも先にもこの抑揚のヴァリエーションはBuddy Hollyしか出せません。なおこの曲は、RockabillyシンガーSonny Westの「All My Love」(未発表)を一部歌詞を変えて取り上げたものですが、レコード化されたのはBuddy Holly盤が最初。その後The Stray Cats('93年『Original Cool』)等にカヴァーされています。
24 It's Too Late('57年『The "Chirping" Crickets』)
Chuck Willisの名作バラード('56年R&B3位)をカヴァーしたもの。
25 Peggy Sue('57年全米3位)
Buddy Hollyのソロ第2弾で、紛れもないR&Rの大名曲。Buddy Hollyのカラッとした力強いギター・ソロと持てるテクニックを全て駆使したヴォーカル、Jerry Allisonのドライヴ感溢れるドラミングと全てが究極的。この曲は当初Buddy Hollyが彼の姪(姉Patriciaの娘 )のために作ったもので、彼女の名前を冠した「Cindy Lou」というカリプソ調の曲でした。ところがJerry Allisonが恋人のPeggy Sue Gerronとケンカしたため、仲直りの口実に「Cindy Lou」を「Peggy Sue」に変えて欲しいとBuddy Hollyに頼みます。困ったBuddy Hollyは出来っこないと思い、曲中速いビートでドラムを連打し続ける事が出来たら変えてもいいと返答したそうです。その後どうなったかはご存知の通りですが、2人のケンカがなかったらこの傑作は生まれなかったんですね。なおこの曲は、John Lennon('75年『ロックンロール』)やHillbilly Bops('88年「Public Menu」)等がカヴァーしています。前者は数あるこの曲のカヴァーの中でも最高峰の出来。

Disc 2
01 I'm Gonna Love You Too('58年)
出だしの一気に流れ落ちる様なギター・ソロとそれに続くナンセンス・シラブルが特徴的なBuddy Hollyのソロ第3弾。典型的なBuddy Hollyサウンドに仕上がっていますが、何故かチャート入りを逃した不運の曲。但し、本国以上にBuddy Holly人気が高い英国では、全英16位とそれなりの評価を受けている点が救いでしょうか。
02 Look at Me('58年『Buddy Holly』)
Vi Pettyのピアノを全面的にフィーチャーしたキャッチーなナンバー。
03 Little Baby('58年『Buddy Holly』)
前曲同様ピアノ(C.W. Kendall Jr.)を全面的にフィーチャーしたナンバー。但し音的にはR&B色が強く、例えて言うなら軽やかに弾むピアノは、'60~'70年代のニュー・オーリンズR&B/Soulの立役者Allen Toussaintを思わせる様な感じ。
04 You've Got Love('57年『The "Chirping" Crickets』)
この曲はRoy Orbisonと彼のバンドThe Teen Kingsのリズム・ギタリストJohnny Wilsonの共作曲を取り上げたもので、The Cricketsが全米ツアー(『The Biggest Show of Stars of '57』)の真っ最中だったため、Norman Petty StudiosではなくオクラホマのTinker空軍基地で録音(5、6も)されています。そしてこれがNiki Sullivanが参加した最後のレコーディング('57年9月28日)。ちなみに、作者のJohnny Wilson盤は同年5月26日に録音されていますが、シングル発売(Peanuts Wilson名義)はThe Cricketsの上記アルバム発売日と同じ11月27日でした。The Crickets盤はやはりBuddy Holly独特の歌唱が魅力的で、Peanuts Wilson盤に比べてスマートな感じに仕上がっています。なおこの曲は、英国のR&RシンガーMarty Wilde('59年『Wilde About Marty』)等もカヴァーしています。
※ Johnny Wilsonについては、RICさんのブログ[ROCKABILLY-A-GO-GO!]で詳述されているので興味がある方はそちらを参考にして下さい。 
05 Maybe Baby('58年全米17位)
「That'll Be the Day」と共に映画『アメリカン・グラフィティ』('73年)でも使用されたBuddy Hollyの代表曲の1つで、アルバム『The "Chirping" Crickets』からシングル・カットされたThe Crickets名義の3枚目。この曲は'57年3月12日に最初のヴァージョンを録音していますが、その時はBuddy Hollyの声が終始高めで、ギター・フレーズは単調、そしてリズムは引っ掛かり気味の野暮ったい感じのものでした。対してここではBuddy Hollyのヴォーカルが冴えまくり、独創的でカッコいいギター・リフも登場する傑作R&Rに生まれ変わっています。
06 Rock Me My Baby('57年『The "Chirping" Crickets』)
個人的に大好きなBuddy Hollyナンバーで、穏やかな歌い出しとエキサイティングな盛り上がりが交互する最高にカッコいいR&R。特に、間奏のギター・ソロが一旦ブレイクした後再開する部分は何度聴いてもシビレます。
07 You're So Square (Baby, I Don't Care) ('58年『Buddy Holly』)
プール・サイドで歌うElvis Presleyの姿が忘れられない、彼の主演映画3作目『監獄ロック』('57年)挿入歌を忠実にカヴァーしたもの。
08 Rave On('58年全米37位)
ハードなRockerとしてのBuddy Hollyの真骨頂と言えそうな傑作曲で、アルバム『Buddy Holly』からシングル・カットされたソロ名義4作目。元々は「Oh, Boy!」がヒットしたお陰で作者として一躍名前が知れ渡り、Atlantic Recordsと契約したSonny West盤('58年)がオリジナル。サックスが入ったPopな印象のSonny West盤に対してBuddy Holly盤は、冒頭のマンブリング唱法とヒーカップ唱法を融合させた様なヴォーカルだけで昇天しそうなドライヴ感あふれる極上のR&R。それにしてもこの曲や「Maybe Baby」はアルバムが先行発売されていたためか、本国でのチャート成績は評価不足の感がありますよね。英国ではそれぞれ全英5位、全英4位と正当に評価してくれているのに...そう言えば、この名曲は日本初のNeo Rockabillyバンド、ブラック・キャッツのデビュー・シングルB面曲「夢のビッグ・マシン」('81年)の元ネタとしてもおなじみですね。
09 Fool's Paradise('58年全米58位)
「Think It Over」のB面ながらチャート・ヒットを記録したチャーミングなナンバー。
10 Take Your Time('58年)
Jerry Allisonお得意の段ボール箱によるパーカッションとNorman Pettyのオルガンがソフトな印象を与える好曲(「Rave On」のB面)。
11 Well...All Right('58年)
Buddy Hollyが所謂R&Rアーティストからさらに進歩を遂げようとしている姿勢が窺えるユニークな曲で、アコースティック・ギターを掻き鳴らしながら切々と歌うBuddy Hollyが印象的なナンバー(「Heartbeat」のB面)。何でも曲名は、前年パラマウント・シアターのショーで共演したLittle Richardが、口癖の様に繰り返し使っていた“Well All Right”というフレーズに由来するんだとか。なおこの曲はBobby Vee(『Bobby Vee Meets the Crickets』)等がカヴァーしています。
12 Think It Over('58年全米27位)
間奏の重く響くVi Pettyによるピアノ・ソロが印象的なThe Cricketsの4thシングル。多分この曲にインスパイアされたと思えるのですが、Hillbilly Bopsの「5時からのレボリューション」('87年『Hillbilly The Kid』)の出だし部分はこの曲にソックリです(曲の大部分は中期以降のThe Beatlesっぽいんですが...)。
13 Early in the Morning('58年全米32位)
Gospelの影響をたたえたBobby Darinの曲をカヴァーしたBuddy Hollyのソロ5作目なんですが、実はBuddy Hollyがこの曲をカヴァーするに至った経緯が少々ややこしいんです。前年DeccaからAtcoに1年契約で移籍したBobby Darinは、ヒットが出せないまま契約満了日を迎えようとしていたため、契約更新は無理だと思い古巣のDeccaにアプローチしてAtcoとの契約満了日前にこの曲を録音します('58年4月24日)。その後5月27日にDeccaの子会社BrunswickからThe Ding Dongs名義で発表するとヒットの兆しをみせ始めるんですが、同時にAtcoの知る所となり法的手段をちらつかせてAtcoがDecca側からマスター・テープを回収します(6月17日)。ヒット性を確信していたDecca側も諦めがつかず、6月19日にB面曲「Now We're One」共々慌ててBuddy Hollyにカヴァーさせ、子会社Coralから7月5日に発表します。しかもThe Ding Dongs盤と全く同じニューヨークのスタジオ(Pythian Temple Studios)とミュージシャン、プロデューサー(Dick Jacobs)を使って。その後最終的にAtcoがBobby DarinのオリジナルをThe Rinky-Dinks名義で発表。チャート的にはThe Rinky-Dinks盤が全米24位と勝利しますが、個人的にはエネルギッシュなヴォーカルが魅力のBuddy Holly盤が好み。
14 Heartbeat('58年全米82位)
Buddy Hollyのソロ6枚目となったトロピカルなムード漂う甘くしなやかな曲。このセッションからTommy Allsupがリード・ギターを担当。この曲は、英国のDoo Wop系Oldies RevivalグループShowaddywaddyが'75年にカヴァー・ヒットさせています(全英7位)。
15 It's So Easy('58年)
前曲と同じセッションで録音されたThe Cricketsの5枚目。高音と低音の使い分けやヒーカップ唱法を豪快にキメたBuddy Hollyのヴォーカルに、Tommy AllsupのギターとThe Rosesのバック・コーラスでPopな味付けを施した名作R&R。この曲がノン・ヒットとは合点がいきませんが、「That'll Be the Day」をカヴァー・ヒット('76年全米11位)させたLinda Ronstadtが'77年にこの曲を再度ヒット(全米5位)させています。
16 Wishing('58年録音)
Buddy HollyとBob Montgomeryが書いた曲をThe Everly Brothersのためにデモ録音したもの(次曲も)。このセッションにBuddy HollyとTommy Allsup以外The Cricketsのメンバーは参加しておらず、George Atwood(ウッド・ベース)、Bo Clarke(ドラム)がリズム・セクションを担当。デモ録音であるため完全版とは言えないかもしれませんが、思いを寄せる女の子と上手くいく様に星に願いを込めるといったロマンティックな歌詞をミディアム・テンポのマイルドなR&Rグルーヴに乗せて歌った佳曲となっています。なおこの曲は、Buddy Hollyの死後'63年にシングル発売され英国でのみヒットを記録しました(全英10位)。
17 Love's Made a Fool of You('58年録音)
「Not Fade Away」よりもさらに穏やかなジャングル・ビートによるBuddy Hollyの隠れた傑作曲(前曲と同じセッション)。The Everly Brothersが歌うことを想定してか、前曲同様部分的にBuddy Holly自身の声をオーヴァー・ダブしているのも効果的だし、Tommy Allsupの切れ味鋭いギターもかなりクール。この曲は、Buddy Hollyと決別したThe CricketsがEarl Sinksをリード・ヴォーカルに迎えて録音('58年12月)しており、Buddy Hollyの死から約1ヵ月後に新生The Cricketsの第1弾シングルとして発売されています(Buddy Holly盤とは違ったアレンジ)。
18 Reminiscing('58年録音)
作者でもありこの曲でサックスを吹いている名奏者、King CurtisをわざわざクローヴィスのNorman Petty Studiosまで呼び寄せて録音したという曲。King Curtisのサックスを全面的にフィーチャーしたこの曲は、残念ながらBuddy Holly在籍時のThe Cricketsとして最後のレコーディング曲となってしまいました。そして、Buddy Hollyの死後'62年にシングル発売され、英国でのみヒットを記録しています(全英17位)。だからかどうか分かりませんが、The Beatlesが'62年にハンブルクのThe Star Clubでのライヴで演奏しているんですよね。
19 True Love Ways('58年録音)
Buddy Hollyがまたしても新たな挑戦を試みた?曲。オーケストラをバックに配したR&R時代以前のポピュラー・ミュージック風の曲で、好き嫌いは別れるかもしれませんが曲自体はこの上なく美しい仕上がりです。この曲はBuddy Hollyの死後'60年にシングル発売され、やはり英国でのみヒットを記録(全英25位)。'65年にPeter & Gordonがカヴァー・ヒットさせています(全米14位、全英2位)。
20 It Doesn't Matter Anymore('59年全米13位)
前曲と同じセッションで録音されたBuddy Holly生前最後のシングル(ソロ7枚目)。演奏には参加していないものの、セッションの場にはこの曲の作者であるPaul Ankaの他、虫の知らせか、The Cricketsのメンバーが居合わせたとか。曲の方はBuddy Hollyが新境地を開いた大傑作と言えるもので、オーケストラ演奏とR&Rの躍動感が見事調和した誰にも真似の出来ない曲になっています。この曲はBuddy Hollyの死後、追悼の意味合いもあって英米共に大ヒットとなっていますが、英国では「That'll Be the Day」以来のNo.1ヒットを記録。また、Hillbilly Bopsの「真夜中をつっぱしれ」('87年)にはこの曲の影響が感じられます。
21 Raining in My Heart('59年全米88位)
元々The Everly Brothersのために書かれたというセンチメンタルなナンバー(前曲のB面)。
22 Peggy Sue Got Married('58年録音)
元々は'58年12月にニューヨークの自宅アパートで、Buddy Hollyが弾いたアコースティック・ギターのみの伴奏で録音された「Peggy Sue」の続編。それをJack Hansenのプロデュースのもと、バック・コーラスと演奏がオーヴァー・ダブ('59年6月)されたヴァージョンで、Buddy Hollyの死後最初のシングルとして'59年7月に発売されています(全英13位)。但し本盤収録ヴァージョンは、'63年にNorman PettyによってThe Fireballsの演奏とコーラスがオーヴァー・ダブされたもので、少し「Peggy Sue」を意識したアレンジになっているのが特徴的。そう言えば、'60年に発表されたDavid Boxがリード・ヴォーカルのThe Crickets盤はモロ「Peggy Sue」サウンドによるカヴァーでした。この曲を含め、Buddy Hollyの死の直前にホーム・レコーディングされた曲は全ていい曲なだけに、Buddy Holly自身の手によって完成させられなかったのが悔やまれます。ちなみにアコースティック・ギターのみのオリジナル・ヴァージョンは、この曲のタイトルを冠した'86年の映画『Peggy Sue Got Married』(邦題『ペギー・スーの結婚』)の主題歌として使われています。
23 Crying, Waiting, Hoping('58年録音)
本盤収録曲は、前曲同様3つのヴァージョンが存在する中のNorman Pettyによるプロデュースのヴァージョンで、Jack Hansenのプロデュース盤は前曲のB面として発表されています。この曲はThe BeatlesがDeccaオーディションで演奏した('62年)曲として有名で、さらにBuddy Hollyと共に飛行機事故で亡くなったRitchie Valensの伝記映画、『ラ・バンバ』('87年)ではBuddy Hollyを演じたMarshall Crenshawが披露していました。あくまで推測ですが、もしBuddy Hollyがこの曲を仕上げていたら、彼の後期を代表する傑作R&Rになっていたと思われます。
24 Learning the Game('58年録音)
この曲も'58年12月に自宅アパートでホーム・レコーディングされたもので、Jack Hansenのプロデュース・ヴァージョン('60年オーヴァー・ダブ)とNorman Pettyのプロデュース・ヴァージョン('63年オーヴァー・ダブ)が存在します。本盤収録曲はNorman Pettyヴァージョンですが、出しゃばった演奏等は一切加えられておらず、Buddy Hollyの描いていた完成形にかなり近いものではないでしょうか。Buddy Hollyの悲しげな歌唱が心にしみる知られざる名曲。
25 What to Do('58年録音)
本盤収録曲も前曲同様3つのヴァージョンが存在する中のNorman Pettyヴァージョン。ここでのNorman Pettyの手腕も素晴らしく、ソフト&スウィートなBuddy Hollyの魅力が十分活かされた名曲に仕上げています。個人的に昔から大好きな曲ですが、欲を言えばBuddy Hollyが(多分The Cricketsと一緒に)完成させたヴァージョンを聴いてみたいものです。


※ 参考までに主なBuddy Hollyトリビュート盤を記しておきます
・『I Remember Buddy Holly』/Bobby Vee
最も有名なBuddy Hollyフォロワーによるトリビュート盤('63年)
・『Buddy's Buddy』/Jimmy Gilmer
「Sugar Shack」('63年全米1位)のヒットで有名なNorman Pettyお抱えシンガーによるトリビュート盤('64年)
・『Sings Buddy Holly』/Skeeter Davis
カントリー・ポップの歌姫によるトリビュート盤('67年)
・『Buddy Holly』/The Hollies
ボーナス・トラック2曲はBuddy Hollyの声にThe Holliesの演奏を加えたもの('80年)
・『バディ・ホリー』/ホリーズ
前記CDの国内盤
・『Not Fade Away』/Various Artists
The CricketsやWaylon JenningsといったBuddy HollyゆかりのアーティストやLos Lobos、Dave Edmunds他が参加した豪華なトリビュート盤('96年)
・『The Buddy Holly Sound of Ray Ruff』/Ray Ruff
Buddy Hollyナンバーは4曲のみですが、Buddy HollyイミテイターによるBuddy Hollyサウンドを集大成した編集盤
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Chuck Berry 『ベスト・オブ・チャック・ベリー』 ♪本文末に記事に関連した動画有

■ 今回はロックンロールの定番中の定番、ロックンロールの神様Chuck Berryを紹介したいと思います。
恐らくロックンロールと聞いてほとんどの人が連想する人物ではないでしょうか。かのJohn Lennonも「ロックンロールに別の呼び名をつけるとすれば、それはチャック・ベリーだ」と言ってるくらいですから。

チャック・ベリーは言わずと知れたロックンロール創生期の重要なオリジネイターの1人で、その後のロック・ミュージックへの影響度という点ではトップ・クラスのアーティストと言える人物です。
とりわけ「Roll Over Beethoven」や「Johnny B. Goode」に代表される独自のギター・スタイルと車やロマンス、スクール・ライフといったティーンエイジャーに身近なテーマを盛り込んだ歌詞作りのスタイルに関しては、チャック・ベリーの影響を受けていないミュージシャンなんていないんじゃないかと思えるほど、ロック・シーンに対して計り知れない影響を及ぼしています。その辺りが世間で評価されて『Rolling Stone』誌の“史上最も偉大なギタリスト100人”(The 100 Greatest Guitarists of All Time)で6位にランクされたり、'86年に最初にロックンロールの殿堂入りを果たしたアーティストの1人となったりしている訳です。

チャック・ベリーのプロフィールは後述するとして、まずはCDを紹介しておきます。
※ 今回は、ロック時代のアーティストについて詳細なレヴューを連載されているnoodles2さんのブログ、[BLACK STRIPE]でチャック・ベリーを紹介しているので、そちらからのTB記事となります。

CD:[試聴] [amazon]
ベスト・オブ・チャック・ベリーチャック・ベリー一押しのCDと言えばやはりこれ。『ベスト・オブ・チャック・ベリー』。
本作は、2003年に『Rolling Stone』誌の“史上最高のアルバム・トップ500”(The 500 Greatest Albums of All Time)で堂々21位にランクされたChess原盤のロングセラー・アルバム、『The Great Twenty-Eight』('82年)の国内盤です。従って抜群の充実度を誇っている事は言うまでもありません。入門盤としてはこれしかないでしょう。
内容は、'55年のChess第1弾「Maybellene」を筆頭に'60年代半ばまでのロックンロール・ヒットをほぼ網羅したもので、チャック・ベリーの全盛期であるChess時代のナンバー全28曲が収録されています。

収録曲のほとんど全てがロックンロール・クラシックと言えるもので、特に'60年代にイギリスのビート・バンドがこぞってチャック・ベリーの曲をカヴァーしたこともあり、チャート成績に関係なく多くの人が知っている有名曲尽くしといった感じです。なお、本盤はチャック・ベリーのロックンロール・ナンバーに的を絞ったベスト盤(唯一「Havana Moon」のみラテン調ポップ・ソング)なので、彼のブルース・ナンバー等は含まれていません。文字通り最高のロックンロール・アルバムです。

※ 参考までにチャック・ベリーのその他のおすすめCDを記しておきます。
・『チャック・ベリー・ゴールド
R&Bヒットを含むチャック・ベリーのヒット曲をほぼ網羅した2枚組
・『The Chess Box
Chess時代におけるチャック・ベリーの様々な魅力を集大成した3枚組


チャック・ベリーは先述の通り、ロックンロールの魅力そのものを表現したギター・フレーズやティーンエイジャーの心情をストレートに綴った歌詞を書いた事で今なお多くのミュージシャンからリスペクトされているのですが、活動初期から人気を得る事が出来た理由には彼の音楽性が深く関係していました。
チャック・ベリーはブルースを基本にジャズやラテン・ミュージック等幅広い音楽に影響を受けていますが、中でも鍵となるのが彼がデビュー以前から演奏していたヒルビリーです。白人音楽を演じる事によって黒人だけでなく白人からも幅広い支持を得る訳ですが、すなわちそれは黒人音楽(ブルース)と白人音楽(ヒルビリー)の融合と言われるロックンロールそのものを演じて人気を得ていた事に他なりません。Elvis Presley等の白人ロックンローラーが白人音楽から黒人音楽に接近したのとは真逆のアプローチで。
その結果として生み出されたのが、チャック・ベリー独特のあのギター・スタイルだったと言えます。

さらに音楽そのものではありませんが、チャック・ベリーのトレードマークとなったダック・ウォークThe Duck Walk)も彼の人気に拍車をかけた重要なパフォーマンスでした。
ダック・ウォークとは、中かがみの姿勢で左足を前に突き出し、もう一方の右足でピョンピョン跳ねながら前進してギターを演奏するパフォーマンスの事です。'56年にパラマウント劇場(ニューヨーク)のショーで初めて披露したもので、あひるのヨチヨチ歩きに似ていることからそのパフォーマンスを観たジャーナリストによってダック・ウォークと名づけられたそうです。
そもそもそのユニークなパフォーマンスは、スーツのしわを隠すために行なったものだとも子供時代に周囲の人に大受けしたチャック・ベリーのかくし芸が原型だとも言われています。ちなみにそのかくし芸は、ボール遊び中にボールがテーブルの下へ入ってしまった時に偶然生まれたもので、ボールを追っているチャック・ベリーの滑稽な動作を見て母親が大笑いした事が発端だったとか。

...とまあ余談が過ぎましたが、ロックンロールとは何かを感じたかったら何はなくともまずはチャック・ベリーを聴いてみましょう!

(収録曲目)
01 メイベリーン('55年全米5位、R&B1位)
原題:「Maybellene」
トラディショナル「Ida Red」を改作したChuck Berryの記念すべきChessからのデビュー曲。歌詞にティーンエイジャーの共感を呼ぶ車とロマンスを盛り込み、ハードなギターで味付けしたR&R創生期の名曲。かのElvis Presleyも同年すかさずライヴ・レパートリーとしています。
02 30デイズ('55年R&B2位)
原題:「Thirty Days」
前曲と同じく第1回目のChessセッションで録音された大傑作ナンバー。個人的に大好きなChuck Berryナンバーで、トリッキーでエキサイティングなギター・ソロは必聴です。
03 ユー・キャント・キャッチ・ミー('56年)
原題:「You Can't Catch Me」
John Lennonがこの曲の歌詞の一部をThe Beatlesの「Come Together」('69年全米1位)に借用して訴えられた事で有名な曲。Hot Rodミュージックの原型と言えそうな歌詞を持つこの曲は、スラッピング・ベースも登場するカッコいい曲で傑作R&R映画『Rock, Rock, Rock』('56年)の中でも歌われていました。また、The Rolling Stonesが2ndアルバム『The Rolling Stones No. 2』('65年)でカヴァーした曲としても知られています。
04 トゥー・マッチ・モンキー・ビジネス('56年R&B4位)
原題:「Too Much Monkey Business」
50'sラップ・ミュージックと言えそうな側面を見せたかと思えば、間奏ではChuck Berryの典型的なR&Rギターが鳴り響くユニークな曲。この曲は'63年にThe BeatlesがBBCのラジオ番組のライヴ(『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』収録)でカヴァーしたのを始め、'64年にはThe Kinks(『The Kinks』)やThe Yardbirds(『Five Live Yardbirds』)、The Hollies(『In The Hollies Style』)等多くのカヴァーを生んでいます。
05 ブラウン・アイド・ハンサム・マン('56年R&B5位)
原題:「Brown Eyed Handsome Man」
かすかにラテンの香りを感じさせる曲で、メロディアスなギターが印象的な好曲(前曲のB面)。この曲は同年Buddy Hollyが録音していますが、シングル盤が発売されたのは彼の死後'63年になってからでした(超傑作カヴァー)。
06 ロール・オーヴァー・ベートーベン('56年全米29位、R&B2位)
原題:「Roll Over Beethoven」
イントロのギターだけで勝負あったと言えるChuck Berryの代表作の1つ。姉のLucyがクラシックを弾くためにいつも家のピアノを独占していたため、自分が使わせてもらえなかった時の感情を歌詞に綴ったという曲。この曲はThe Beatlesがアルバム『With the Beatles』('63年)でカヴァーした他、歌詞に“Blue Suede Shoes”というフレーズが出てくるからという訳ではないんでしょうが、Carl Perkinsも'57年に録音しています(未発表)。
07 ハヴァナ・ムーン('56年)
原題:「Havana Moon」
「You Can't Catch Me」のB面で発表されたラテン調の曲。ノン・ヒットながら、Richard Berry(Chuck Berryとは血縁関係なし)はこの曲のリズム・パターンにヒントを得て「Louie Louie」('57年)を書いたそうです(The Kingsmenの'63年全米2位曲として有名)。
08 スクール・デイズ('57年全米3位、R&B1位)
原題:「School Days」
ブルース風味の特徴的なギター・リフにのせてChuck Berryが高校時代の思い出を歌ったR&Rナンバー。ちなみに、この曲の歌詞に出てくる"Hail! Hail! Rock and Roll ♪"というフレーズは、Chuck Berryの生誕60周年記念コンサートを記録したドキュメンタリー映画『ヘイル・ヘイル・ロックンロール』('87年公開)のタイトルとなっています。
09 ロックン・ロール・ミュージック('57年全米8位、R&B6位)
原題:「Rock and Roll Music」
途中ラテンのビートも織り交ぜながらChuck Berryが軽やかに歌い上げたR&R賛歌(もちろん名曲)。The Beatlesがアルバム『Beatles for Sale』('64年)でカヴァーしています。
10 オー・ベイビー・ドール('57年全米57位、R&B12位)
原題:「Oh Baby Doll」
スクール・ライフをテーマにしたスピーディなR&Rで、Alan Freed主演のR&R映画『Mister Rock and Roll』('57年)の中でも歌われています。
11 リーリン・アンド・ロッキン('58年)
原題:「Reelin' and Rockin'」
次曲のB面として発表されたR&Rクレイズを描いたナンバーで、'65年にはThe Dave Clark Fiveが超ワイルドにカヴァーしています(全米23位)。
12 スウィート・リトル・シックスティーン('58年全米2位、R&B1位)
原題:「Sweet Little Sixteen」
The Beach Boysの'63年全米3位曲「Surfin' USA」の元ネタとしてあまりにも有名なR&Rの大名曲。'57年末に実際にChuck Berryがコロラドのコンサート会場で遭遇した少女をモデルに書いたというこの曲は、'62年にJerry Lee Lewisがマイナー・ヒット(全米95位)させた他、'63年にThe BeatlesがBBCのラジオ番組のライヴでカヴァーしています。
13 ジョニー・B.グッド('58年全米8位、R&B2位)
原題:「Johnny B. Goode」
冒頭の名イントロやChuck Berryのスピーディな歌唱、そして間奏のギター・ソロの全てがR&Rそのものといった痛快ナンバー。この傑作曲の歌詞のフレーズからタイトルが付けられたR&R映画、『Go, Johnny, Go!』('59年)では、Chuck Berry自身も出演してこの曲を歌っています。'64年にはThe BeatlesがBBCのラジオ番組のライヴでカヴァーした他、そのThe Beatlesの初期のスタイルに色濃く影響を受けた日本の伝説的R&Rバンド、キャロルもデビュー・アルバム『ルイジアンナ』('73年)でカヴァーしていました。
14 アラウンド・アンド・アラウンド('58年)
原題:「Around and Around」
ど派手な前曲のB面だったためかあまり目立たないChuck Berryナンバーですが、「Reelin' and Rockin'」同様R&Rブームの喧騒ぶりを歌ったカッコいいR&Rで、隠れた名曲といった趣。その証拠に意外と人気も高く、'64年にThe Rolling Stones(『12 X 5』)やThe Animals(『The Animals』)等がカヴァーしています。
15 キャロル('58年全米18位、R&B9位)
原題:「Carol」
典型的なChuck BerryスタイルのR&Rで、'63年にThe BeatlesがBBCのラジオ番組のライヴで、'64年にThe Rolling Stonesが1stアルバム『The Rolling Stones』でカヴァーしています。
16 ビューティフル・デライラ('58年全米81位)
原題:「Beautiful Delilah」
チャート成績は振るわなかったものの、Chuck Berryの曲の中でもC&W色が強い(=Rockabilly風)好曲。'64年にThe Kinksがデビュー・アルバム『The Kinks』で、'86年にストレイ・キャッツが一時的再結成アルバム『Rock Therapy』でカヴァーしています。
17 メンフィス('59年)
原題:「Memphis, Tennessee」
映画『Go, Johnny, Go!』の中でも歌われていた名曲で、ひねりの効いたストーリー性のある歌詞が特徴的な曲(「Back in the U.S.A.」のB面)。ヒットこそしていませんがかなり人気のある曲で、The BeatlesがDeccaオーディションで演奏した('62年)他、Lonnie Mackがギター・インスト曲として'63年にカヴァー・ヒットさせ(全米5位「Memphis」)、'64年にはThe Animals(『The Animals』)とThe Hollies(『Stay with the Hollies』)がそれぞれデビュー・アルバムで、Neo RockabillyバンドRestlessがアルバム『Movin' On』('90年)で、そしてまたもキャロルが『ルイジアンナ』でカヴァーしています。
18 スウィート・リトル・ロックンローラー('58年全米47位、R&B13位)
原題:「Sweet Little Rock and Roller」
19 リトル・クイーニー('59年全米80位)
原題:「Little Queenie」
この曲も映画『Go, Johnny, Go!』で披露されたR&Rナンバー(次曲のB面)で、同年すかさずJerry Lee Lewisにカヴァーされています。
20 オールモスト・グロウン('59年全米32位、R&B3位)
原題:「Almost Grown」
特徴的なバック・コーラスが入ったゴキゲンなR&Rで、映画『アメリカン・グラフィティ』('73年)にも使用されていた個人的に思い出深い曲。
21 バック・イン・ザ・USA('59年全米37位、R&B16位)
原題:「Back in the U.S.A.」
Chuck Berryが「Johnny B. Goode」風のギターをバックに、オーストラリア・ツアーを終えて帰国した時の心情を歌ったもの。なおこの曲は、The BeatlesがThe Beach Boys風に歌った「Back in the USSR」('68年『The Beatles』)の元ネタとしても知られています。
22 レット・イット・ロック('60年全米64位)
原題:「Let It Rock」
「Too Pooped To Pop」(本盤未収録)のB面で発表された、これまた「Johnny B. Goode」に似たR&Rナンバー。この曲はThe Stray Catsが全曲カヴァー・アルバム『Original Cool』('93年)の中でカヴァーしています。
23 バイ・バイ・ジョニー('60年)
原題:「Bye Bye Johnny」
この「Johnny B. Goode」の続編的作品はThe Rolling StonesがEP『The Rolling Stones』('64年)でカヴァーしています。
24 アイム・トーキング・アバウト・ユー('61年)
原題:「I'm Talking About You」
残念ながらヒットは記録していませんが隠れた名曲と言えそうな渋めのR&Rで、The Beatlesのデビュー以前からのライヴ・レパートリーとしても知られ、'64年のThe Animals(『The Animals』)とThe Hollies(『Stay with the Hollies』)、'65年のThe Rolling Stones(『Out of Our Heads』)等多くの英国ビート・バンドにカヴァーされた人気曲。
25 カム・オン('61年)
原題:「Come On」
The Rolling Stonesのデビュー・シングル('63年全英21位)となったChuck BerryにしてはPopな曲。
26 ネイディーン('64年全米23位)
原題:「Nadine (Is It You?)」
Chuck Berryが売春教唆事件による服役を終えて出所後初めて放った久々のヒット曲。
27 ノー・パティキュラー・プレイス・トゥ・ゴー('64年全米10位)
原題:「No Particular Place To Go」
「School Days」のメロディをほぼそのまま甦らせた'60年代のChuck Berryを代表する曲。ちょっと意外?な所でPsychobillyバンドのGuana Batzが2ndアルバム『Loan Sharks』('86年)で絶品カヴァーを披露しています。
28 アイ・ウォント・トゥ・ビー・ユア・ドライヴァー('65年)
原題:「I Want To Be Your Driver」
アルバム『Chuck Berry in London』収録のSoul風味のビートが特徴的なR&R。


※ iTunes Storeチャック・ベリーの曲をダウンロードする場合はこちらでどうぞ(試聴可)。1曲から購入できます。iTunes(無料)がインストールされていない場合は、アプリケーションのダウンロード・ページが開きます。
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Bill Haley & His Comets 『The Ultimate Collection』 ♪本文末に関連動画有

■ さて、Bill Haley特集?最終回となる今回は、ビル・ヘイリービル・ヘイリー&ヒズ・コメッツとしてピークを迎えた黄金のDecca時代のおすすめCDを紹介します。

※ 関連記事:
  [50'sロックンロールの第1人者、Bill Haley](Bill Haleyの詳しいプロフィール)
  [50'sロックンロールの第1人者、Bill Haley 2](Holiday/Essex時代)

CD:[試聴] [amazon]
Ultimate Collectionビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツが大ヒットを連発したDecca期のCDはやはり一番多く出回っているんですが、現在入手しやすいCDの中で一押しなのが『The Ultimate Collection』です。
内容は、Decca在籍時代('54~'59年)の全チャート・ヒット曲(ほぼ全てのシングル)を網羅し、アルバム収録曲やノン・ヒット・シングルからの注目曲、それに'64年に単発でリリースされた「The Green Door」を加えた2枚組全42曲。まずはDecca時代を一通り聴いてみたいというビル・ヘイリー入門者にはピッタリではないでしょうか。
'55年の夏、ティーンエイジャーを熱狂させた「Rock Around the Clock」の爆発的ヒットで一躍時代の寵児となった、ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの躍動感に満ちたオリジナルのロックンロールが目白押しです。

※ 参考までにDecca時代のその他のおすすめCDを記しておきます。

・『Rock Around The Clock
Holiday/Essex~Decca期にかけての代表曲24曲を1枚に収めたベスト盤
・『ロック・アラウンド・ザ・クロック
前記CDの国内盤
・『The Decca Years & More
別ヴァージョン等を含むDecca音源の5枚組コンプリート集

R&B特有のビート感やドライヴ感にC&W的な疾走感がブレンドされたビル・ヘイリー・サウンドは、Essex時代にほぼ出来上がっていたと言えるのかもしれません。しかし、Louis Jordanを手がけた名プロデューサーMilt Gablerとの出会いによって、かなり洗練された形で大胆にR&Bグルーヴが導入され、この上なく魅力的なビル・ヘイリー・サウンドを完成させたのはやはりこのDecca時代です。
ビル・ヘイリーの黒味を帯びた軽妙なヴォーカル、ホットでスウィンギーなギター・ソロ、躍動的なビートを刻むスラッピング・ベース、ジャイヴ風味の小粋なサックスが一体となって織りなす、ワイルドさとスマートさが絶妙のバランスで同居したDecca期のビル・ヘイリー・サウンドは今なお光り輝いています。

ところで、そのビル・ヘイリー・サウンドの象徴的ナンバー「Rock Around the Clock」ですが、'54年の発売当初は全米23位までしか上がらなかったにもかかわらず、約1年後に映画『Blackboard Jungle』('55年3月公開)の主題歌に採用されると映画と共に全米だけでなく世界中でセンセーションを巻き起こしています。
イギリスでは'55年10月に映画が公開されるやテッズの間で評判を呼び、映画館がダンス・ホール化する等かなりの騒ぎを巻き起こし、翌11月には「Rock Around the Clock」が全英1位を記録。なお、イギリスでは同年Deep River Boys(アメリカのグループ)によるカヴァー盤が出されています。ちなみにDeep River Boysは「Shake, Rattle and Roll」('54年)と「Rock-A-Beatin' Boogie」('56年)もカヴァーしていました。
また、映画『Blackboard Jungle』(邦題『暴力教室』)は日本でも'55年8月に公開されており、10月に放送を開始したばかりの本邦初のヒット・パレード形式のラジオ番組、『ユア・ヒット・パレード』で最初に発表されたチャート(10月8日)の1位となっていたのが何を隠そう「Rock Around the Clock」だったのです。そして翌11月には、江利チエミダーク・ダックスが「Rock Around the Clock」の日本語カヴァー盤を発表しています(この2枚が日本初のロックンロール・カヴァー盤)。


(収録曲目)

Disc 1
01 (We're Gonna) Rock Around the Clock('54年全米1位)
Sonny Dae & His Knightsの同年盤をカヴァーしたBill Haley & His CometsのDeccaからの第1弾。と言っても元来この曲はBill Haley達のために書かれた曲で、The CometsはDecca録音以前からステージで披露していました。当初「Thirteen Women」のB面扱いだったこの曲が、映画『Blackboard Jungle』のおかげで爆発的ヒットを記録した事は先述の通りですが、さらに映画『アメリカン・グラフィティ』('73年)で使用されて'74年に再度チャート入りを果たしてるんですよね(全米39位)。ちなみに映画『Blackboard Jungle』でこの曲が採用された経緯は、Richard Brooks監督が主題歌の選定にあたり、主演俳優Glenn Fordの息子から借りたレコードの中から若者に受けそうな曲という事で選ばれたそうです。Glenn Fordの息子はR&BのレコードやBill Haleyの「Crazy, Man Crazy」も所有していたR&Rファンだったそうですが、もし彼がこの曲を持っていなかったらR&Rの歴史も変わっていたかもしれませんね。
02 Shake, Rattle and Roll('54年全米7位)
Bill Haley & His Cometsにとって初のTop10ヒットとなったのが、Big Joe Turnerの同年R&B1位曲をカヴァーしたこの2ndシングル。オリジナルのR&Bグルーヴは残しつつ、Louis Jordan譲りの軽妙さを加味した絶品カヴァーとなっています。ちなみにこの曲は、Jive系Neo RockabillyバンドThe Stargazersがアルバム『The Speaking Clock Says...Rock!』('97年)でカヴァーしていました。
03 Dim, Dim the Lights (I Want Some Atmosphere)('54年全米11位)
冒頭のナンセンス・シラブルが特徴的なこの曲は、初めてR&Bチャートに登場した白人R&R(R&B10位)。なお、前曲のセッションの10日後に亡くなったDanny Cedrone代わって、この曲からFranny Beecherがリード・ギターを担当しています。
04 Birth of the Boogie('55年全米17位)
プリミティヴなドラム・ビートで幕を開けるユニークな始まりながら、蓋を開けてみれば典型的なBill Haleyサウンドといったダンサブルな名曲。
05 Mambo Rock('55年全米18位)
ブギのリズムを刻むギター・リフが印象深い前曲のカップリング曲。
06 Razzle-Dazzle('55年全米15位)
The Cometsの初代リード・ギタリストDanny Cedroneの名フレーズが「Rock Around the Clock」だとすれば、2代目Franny Beecherの名フレーズはこの曲でしょう。曲名通りの馬鹿騒ぎ(Razzle-Dazzle)を表現した様なクレイジーでスリリングな早弾きを披露しています。
07 Two Hound Dogs('55年)
前曲のカップリング曲。
08 Burn That Candle('55年全米9位)
ニューヨーク出身のDoo WopグループThe Cuesの同年盤(全米86位)をBill Haleyサウンドでカヴァーしたもの。ちなみにThe Cuesは、Ruth Brown(The Rhythmaires)、LaVern Baker(The Gliders)、Big Joe Turner(The Blues Kings)、Ivory Joe Hunter(The Ivorytones)等のバック・コーラスを変名で務めたグループとして知られています。なお、The Jodimarsを結成してThe Cometsを脱退したMarshall Lytle(ベース)とJoey D’Ambrosio(サックス)に代わって、このシングルからAl Rex(ベース)とRudy Pompilli(サックス)が参加しています。
09 Rock-A-Beatin' Boogie('55年全米23位)
Bill Haleyの自作曲ながらどういう訳かDanny CedroneのバンドThe Esquire Boysが'53年に最初にレコード化した曲(The Treniersも同年カヴァー)。勢いよく鳴り響くスラッピング・ベースが印象深いスピード感あふれる傑作ナンバー。
10 See You Later, Alligator('55年全米6位)
スウィンギーな曲調から急変する強烈な間奏が何とも快感なBobby Charlesの同年R&B15位曲のカヴァー。この曲もまたThe Stargazersがアルバム『The Speaking Clock Says...Rock!』でカヴァーしていました。余談ですが、冒頭でタイトル・コールする子供の声はFranny Beecherが声色を変えて言っています。その他「Rip it Up」や「Billy Goat」の冒頭の声も全て彼によるもの。
11 R-O-C-K('56年全米16位)
ロックンロール賛歌とも言えそうな躍動感に満ちたBill Haleyサウンドの名曲。
12 The Saints Rock 'N Roll('56年全米18位)
前曲とのカップリングで発表されたおなじみのトラディショナル「When the Saints Go Marching In」の絶品カヴァーで、ビート感、スピード感、それにFranny Beecherのホットな早弾きと全てが魅力的。
13 Hot Dog Buddy Buddy('56年全米60位)
Jive風味満点の典型的Bill Haleyサウンドによる傑作曲(60位とは明らかに評価不足)。
14 Rockin' Through the Rye('56年全米78位)
トラディショナル「Comin' Thro' the Rye」を基に作った自作のR&Rナンバーで、親しみやすいメロディをハード・ドライヴィングさせる手法は天下一品(前曲のカップリング)。
15 Rip It Up('56年全米25位)
泣く子も黙るLittle Richardの同年全米17位(R&B1位)曲ですが、オリジナルのワイルドさに洒落たJive感覚をブレンドしたカヴァーとなっています。Bill Haleyの熱唱もワイルドでバックの演奏が完全にSwingしている大傑作。なおこの名曲は、同年Elvis Presley(『Elvis』)やBuddy Hollyもカヴァーしています。
16 Teenager's Mother (Are You Right?)('56年全米68位)
個人的に大好きな曲で、うなりを上げるスラッピング・ベースとスピード感が大絶品のBill Haleyナンバー(前曲のカップリング)。
17 Rudy's Rock('56年全米34位)
Rudy Pompilliのサックスをフィーチャーしたホットなインスト・ナンバー(Bill HaleyとRudy Pompilliの共作)。
18 Don't Knock the Rock('56年)
Bill Haley & His Comets主演第2作目となった同名映画のタイトル・ソング。
19 Choo Choo Ch'boogie('56年全米30位)
Bill Haleyサウンドのルーツとも言えるLouis Jordan & His Tympany Fiveの'46年R&B1位曲をリメイクした好カヴァー(前曲のカップリング)。
20 Forty Cups of Coffee('57年全米70位)
Danny Overbeaの'53年盤をカヴァーしたもの。
21 Hook, Line and Sinker('57年全米70位)
'56年のアルバム『Rock'n Roll Stage Show』収録曲をシングル・カットしたもの(前曲のカップリング)。
22 (You Hit the Wrong Note) Billy Goat('57年全米60位) 


Disc 2
01 Skinny Minnie('58年全米22位)
この曲からAl Rexがウッド・ベースをエレキ・ベースに持ち替えているためか、ちょっと様変わりしたBill Haleyサウンドになっています。
02 Lean Jean('58年全米67位)
03 Joey's Song('59年全米46位)
Joe Reismanの'57年盤をカヴァーした小粋な名作インスト・ナンバー。
04 Skokiaan (South African Song)('59年全米70位)
The African Dance Band of the Cold Storage Commission of Southern Rhodesia(←長すぎ!)の'47年のインスト曲をカヴァーしたBill Haley & His Comets最後のヒット曲。
05 Calling All Comets('56年『Rock'n Roll Stage Show』)
「Rudy's Rock」同様Rudy Pompilliがゴキゲンなサックスを聴かせるカッコいいインスト・ナンバー。
06 A.B.C. Boogie('54年)
「Shake, Rattle And Roll」とのカップリングで発表されたチャーミングなナンバー。
07 Happy Baby('54年)
「Dim, Dim the Lights」とのカップリングで発表された疾走感あふれる超カッコいいR&R。
08 Thirteen Women (And Only One Man in Town)('54年)
Dickie Thompsonの「Thirteen Women And One Man」('53年)の絶品カヴァー(「Rock Around The Clock」のカップリング)。「Rock Around The Clock」ばかりがクローズ・アップされてあまり目立たない曲ですが、個人的に大好きな曲でDanny Cedroneの渋いギター・ソロが何とも言えません。ちなみにこの曲は、Ann-Margretが'62年に「Thirteen Men」のタイトルでカヴァー(『The Vivacious One』)しています。それにしても、いくら夢の中とは言え“13人の女性と1人の男しかいない街”って羨ましいですよね(笑)。
09 Paper Boy (On Main Street, U.S.A.)('55年)
「See You Later, Alligator」のカップリング曲。
10 Blue Comet Blues('56年)
「Rudy's Rock」とのカップリングとして発表されたインスト曲。
11 Rockin' Rollin' Rover('57年)
「Billy Goat」のカップリング曲。
12 Sway with Me('58年)
「Skinny Minnie」とのカップリングで発表されたR&B色濃厚なナンバー。
13 Don't Nobody Move('58年)
「Lean Jean」のカップリング曲(R&B色濃厚)。
14 Move It on Over('58年『Rockin' the Joint!』)
「Rock Around the Clock」の元ネタとも言えそうなHank Williamsの'47年C&W4位曲をカヴァーしたもの。
15 Corrine, Corrina('58年)
Big Joe Turnerが'56年にヒットさせた(全米41位)事で有名な曲のカヴァー。ちなみにオリジナルはBo Carterの'28年の曲で、Big Joe Turnerは'41年にもArt Tatum & His Bandのメンバーとしてこの曲をカヴァーしています。
16 Goofin' Around('56年『Rock'n Roll Stage Show』)
映画『Don't Knock the Rock』でのパフォーマンスも忘れがたいとびきりクールなインスト・ナンバー。なおこの曲は、Neo RockabillyバンドThe Blue Catsがデビュー・アルバム『The Blue Cats』('80年)で絶品カヴァーしています。
17 A Rocking Little Tune('56年『Rock'n Roll Stage Show』)
Bill Haleyの曲の中ではほとんど注目されない曲ですが、昔から好きな曲でR&R調のサックスやギターに絡むJohnny Grandeの洒落たアコーディオンがチャーミングな好曲。
18 The Green Door('64年)
'80年代初めに活躍したR&RリヴァイヴァリストShakin' Stevensがカヴァー('81年全英1位)した事でも知られるJim Loweの'56年全米1位曲を取り上げたもの。
19 The Beak "Speaks"('58年『Rockin' the Joint!』)
Bill Haley & His Cometsお得意のインスト・ナンバー。
20 Rock the Joint('57年)
Essex時代('52年)にも取り上げたJimmy Preston & His Prestoniansの'49年R&B6位曲の2度目のカヴァー。サックスを加えてパワー・アップしたせいか、Bill Haleyの歌唱も力がこもっています。


※ iTunes Storeビル・ヘイリーの曲をダウンロードする場合はこちらでどうぞ(試聴可)。1曲から購入できます。iTunes(無料)がインストールされていない場合は、アプリケーションのダウンロード・ページが開きます。
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